■ 海 ■


 

この日の天気は
降ったり止んだりを繰り返す
気まぐれな
雨だった。

でも不思議と
車での移動中に降って
現地に着くと止むという
気の利いた
雨だった。

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浜は砂じゃなくて
角の取れた小石で埋まっていた。

皆それぞれ
好きなことをして時間を過ごした。

石を探す人
波を楽しむ人
海を見つめる人
ずっと後ろから皆を見る人

私はしゃがんで
波の音を聴いていた。

両耳に手を当てると
すごくよく聴こえた。

ぞばーーん・・・
しょわしょわ
しょわしょわ
・・・・

ぞぞぞばーーん・・・
しょわしょわ
しょわしょわ
・・・・

この‘しょわしょわ’部分が
じぃーっと聴いていると
面白い。
波は浜に打ち寄せられる時
白い泡になって近づいてくる。

その泡が浜の小石にぶつかって
2つに割れる時に
‘しょわ’という音が
鳴っているのかな。

どんどん浜に上がってくるにつれ
それぞれの泡が分裂して
その数だけ‘しょわ’が鳴るから
波が近くに来ると
すごく重なり合った‘しょわ’が
聴こえるのかな。

泡の大きさが違うから
‘しょわ’の音の高さも
違うのかな。

だから
私の足元近くまで来るような
大きな波のときの
‘しょわ’の大合唱は
すごいんだろうな。

大自然のエフェクト。


かつてなら
海を見ると
過去の出来事なんかを思い出したり
ちょっとセンチメンタルな気分になってみたり
これからのことを何となく考えたり
海のむこうのことを想像したり
頭の中を真っ白にしようと頑張ったり
していたかなぁ。

この日は
そんなことぜーんぜん
考えなかった。
音を聴いて
頭の中に泡が浮かんできて
それが割れて
どんどん割れていって
見えなくなるぐらい小さくなって
消える前に
次の波がやってくる。


この浜は遊泳禁止。
底がすぐに深くなってるんだって。
すごいね太平洋。

「夏に来たら浜辺で寝転がって
読書とかしたいなー。」
って言ったら
「熱すぎてヤケドする。」
と言われた。
・ ・ ・ ・ ・ 
納得。

うちの地元の
ワカメの味噌汁のような海でも
眺めながら色んなことを考える人が
ひょっとしたら
いるかもしれない。

いや、いない。
(反語)



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海でひろった小石たち。

 
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